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ないしょばなし

funnygirl.exblog.jp

水谷八重子 タワゴト

与之さん

今年の3月、国立劇場で上演した「遊女夕霧」を、取り上げてみましょうか。

このアルバムの中で一番たくさん、何回もライヴで唄ってる曲なんです。


新派文芸部、中川寿夫氏によると、、、、


華やかな三味線太鼓も賑やかに、ここ吉原は酉の市。

真面目ひと筋の律儀者、呉服屋の番頭、与之助は今夜も夕霧を訪れた。

いやしい遊女のこのあたしに精一杯の実を尽くしてくれる彼、逢瀬を重ねる度、

夕霧の心の中に与之助への愛しさが大きくなっていた。

けれど、この苦界は悲しい。

惚れた男の甘言にだまされ続けた小紫の若い一途さを、優しく慰める夕霧だが、

それが、明日の我が身とは知る由もない。

やがて、騒ぎとさんざめきが潮のように引いた後、

与之助の顔に暗い陰りが浮かび、夕霧は不安に脅える。

恋に夢中の与之助は、夕霧に逢うために、店のお金に手を付けてしまっていたのだ。

声を殺して泣く与之助。こうして、幸せは音を立てて崩れていった。

それから数ヶ月、木枯らしの吹く中、

与之助の得意客の家々を頭を下げて廻るやつれた夕霧の姿があった。

自分を喜ばせるために獄に繋がれた彼の罪が少しでも軽くなれば、

必死に歩く夕霧が講釈師、悟道軒円玉の家の前に立ったのは、

師走のある日のことだった。

信じ尽くした与之助に騙されてしまった腹立たしさ、けんもほろろの応対だが、

頑固なようでも江戸っ子の円玉、黙って耐える夕霧の人に云えない苦しみが、

いつか胸に染みていた。「で、夫婦になるつもりかい?」

「いいえ、別れてやるのが情けじゃないでしょうか、、、。」

女郎上がりが女房になっては、

心底惚れた与之助のために良かれと偲ぶ夕霧の、背中に悲しみがにじんでいた。


岩谷時子作詞「与之さん」


惚れちゃいけない、   女郎だというのにさ
あんまり初ぶだから   あたしゃ惚れたのさ
お酉さまの    吉原は賑やかで
あたしと与之さんは  幸せな筈だった
        男にも実のある人が  いるもんだね
        背のびをしてはあたしに  貢いでたあの人さ
        あああ、情一すじ  それが仇になる

笑うておくれ   あの人のためならば
地獄の果てまでも  あたしゃ行きたいよ
いやしいあたし   喜ばせようとして
可愛い与之さんは  見栄を張りすぎた
         あの人がしたことは  みんなあたしゆえ
         許してどうぞ泣かずに 苦労なら二人で
         あああ いいことなんか  この世にゃないのだね

縞の着物 紫の羽織着て  
あの人助けてと  あたしゃ西東
誰にでも この頭下げましょう
優しい与之さんは 罪を犯しました
           どうしても出したいの 暗い所から 
           浮く世へ無事な姿で  戻られるものならば
           あああ、あたしは去ろう 出世の邪魔になる


    漠然と唄っている内に、、、愛しい「与之さん」がいろいろな人に成って来るって、
    浮気などうしようもない、夕霧とはかけ離れた女なのでしょうか?私って。。。
by funny-girly | 2016-08-18 13:36 | 音楽 | Comments(2)
Commented by Garland at 2016-08-18 15:34 x
「婦系図」の次は何かな?、と。。。
歌詞に夕霧の想いが溢れていて、いい曲だなぁと思っていました。
また歌って下さいね。
『愛しい「与之さん」がいろいろな人に成って来る』、いいではありませんか。
最近は、イノさん(猪俣猛さん)もいらっしゃいますね。

さてさて、次はなんでしょうか?
楽しみにしています。
Commented by funny-girly at 2016-08-31 01:25
Garlandさま
私、芝居よりも、岩谷先生の婦系図の方が好きかも。
アップテンポの中に、女の悲しみが溢れていて。