思い出

今年もベランダに大輪の牡丹が四つも咲いた。春なのだ。
福島県須賀川の相楽市長さんから頂いた鉢の一つだ。
毎年、牡丹園のお誘いを頂いているのに、一度も出席したことがない。
来られないなら、、、と牡丹の鉢を送って下さった。

最初が真っ白。次がピンク、、(このピンクが今年も咲いた)
その次が真っ赤、、、今まだ堅い蕾を付けている。
真っ白が、、、芽吹いて来なかった。死んじゃったのだ。悲しかった。

今年も牡丹園のお誘いを頂いた。行こう。

須賀川、、、懐かしい。何故か思い出がいっぱいある所だ。
須賀川の文化センターが出来てすぐに新派を呼んでいただいた。
のーんびりとした町だった。

楽屋にコーヒーの出前を取ろうとしたのだが、そんなお店は未だ一軒もなかった。

「コーヒーの出前が来ましたよ」
さっき紹介されたばかりの館長さんが湯気の立つコーヒーを持ってきて下さった。
館長室で慌てて入れて下さったのだそうだ。
この、コーヒーの温かさが、そのまま須賀川の温かさとなって残った。

それから、何年が経ったことだろう。
良重から八重子になるお披露目のパーティ会場で、今はもういらっしゃらない永山会長と金屏風の前に並んで、ドアの開くのを待っていた。

ドキドキして完全に舞上がっていた。
あぁドアが開いて、5,6人しかお客さまがいらっしゃらなかったら、どーしよう、、、ドッキンドッキン。
ドアが開いた。

真っ先に入っていらしたのが、須賀川の高木 博市長(お亡くなりになってもう、十年以上経ってしまった)と、コーヒー出前の斎藤 栄、元館長が、それこそ、暖かい笑顔で入っていらした。それから、、それから、、千人を超すお客さまが、、。
私はこの先頭のお客さまを一生忘れることは出来ないだろう。

その後も、何度も巡業で伺った。館長さんも引退なさってアパートの大家さんにお成りになったと伺った。
市長さんも変わった。八重子襲名すぐに相楽市長さんに変わった。
かれこれ、12年のお付き合いだ。


牡丹はまだ咲いていなかった。咲き誇るには寒すぎた。
蕾が咲きたいよって待っていた。
野点をどうぞ、、、と、仕舞いかけていた非毛氈を直して、美しい着物の女性が声を掛けて下さった。市長さんと並んでお茶を頂いた。
良い香りがして、何とも云えずに温かかった。美味だった。
やっぱり、須賀川って暖かい。

帰りに牡丹の鉢を3つも頂いてしまった。

大切に持って帰って、ベランダに置いた。
大輪のピンクの牡丹が、六本木で咲き誇って待っていた。
「ようこそ、後輩達よ」って待っていた。
by funny-girly | 2008-04-27 00:25 | 雑文

水谷八重子 タワゴト

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