フォーラム

暑かった、、、ですね、今日も。
でも、ほとんどを、涼しい(イエ、寒い)デパートで過ごしました。

花形若手新派公演は、今日は昼間一回公演。

その後に、日本演劇協会主催のファオーラムがありました。
協会員の私は、そのトークに出席したんです。

新派120年を振り返って、演劇評論家の水落 潔氏が司会。
至極真面目に、進行しました。

後半は、この公演のゲスト片岡愛之助さんが加わって、
今現在公演中の「紙屋治兵衛」と、作者の北條秀司先生の事などおしゃべりをしました。

結構、堅く、堅く、収まったんじゃないかしら。

後になって思うと、小春役の、瀬戸摩純を
少しも誉めてあげなかったことに気が付いた。

同じく、おさん役の、鴫原 桂ちゃんも
誉めるところがいっぱいあったのに、
何にも云ってあげなかった。
身内を誉める、、、これって、、、なんか、
とても気恥ずかしいって思っちゃったんですよ

やっぱり、身内なんですよ、ね。
「瀬戸摩純さん、良くやってましたね」って云われると
「いいえ、まだまだ、、、そんな、、、」なんて答えてしまうんです。


しかし、北條先生の舞台作りには、改めて「スゴイッ」って思い知らされました。


先生がまだまだお元気で、私が初めて、小春をやらせて頂いたとき、
最初の小春の登場の衣裳はすんなり決まったのに、
次の「散財場」つまり大勢の遊び仲間が、遊女を一杯呼んで、
飲めや唄えの大騒ぎで、湯水のようにお金を散財する場面。

その絶好調の真っ直中に、他所の座敷から小春が帰ってくるのだが、
その衣裳が、先生のお気にいらない。
「これしかないのか!」「強い色を持ってこい!」

何枚着替えても、先生のお気に入らなかったのだ。

困り果てた衣裳さん、とうとう真っ黒な芸者の出の衣裳を持ってきた。
「これで、模様のところがもっと面白いのがないのか?」

持ってきました衣裳さん。
まるで東京音頭を踊りそうに、裾に桜の花が、
バカーッと開いた、不思議な座敷着。

「おもろいやないか」とこれに落ち着いた。
以来、7回小春をやらせて頂いていたけど、その衣裳を毎回、着ていた。
北條先生の芝居は一回決まったら、誰にも変えることは出来ないのだ。
だって、北條天皇と呼ばれていましたもの。

今回、狭い三越劇場でもあり、
最初の衣裳と、散財場の衣裳を、小春は、入れ替えて、着ていた。

それを観て、恥ずかしながら、初めて気が付いた。
天皇の芝居作りの怖さ確かさ色彩の美学。初めて先生の凄さにひれ伏した。

大勢の酔っぱらいがグチャグチャに遊んでいる中、
普通の常識に掛かった遊女の衣裳では、めり込んでしまう。
この、大きなガタイの私でさえ、クッキリと目立たせたかった天皇の計算。
ゲームに負けて、取り囲まれて、帯を解かれる。
グルグルとハデに回されて、解かれた帯の下から、真っ赤なしごきが現れる。

そして、そのまま治兵衛と小春は、二階の小部屋でシンネコになる。
イチャイチャとする内に、エキセントリックな小春は、
おさんにモーレツに嫉妬する。

「おさんさんとは別れて」と治兵衛の首まで締め上げる。
そんな、小春の激しさが、真っ黒な着付けに真っ赤なしごき、治兵衛に
馬乗りになる裾には、ピンクの東京音頭の桜が開く。
きりきりと締めた真っ赤なしごきは、女のくびれた曲線を、
思いっきり見せられるのが、女優の強み。

と、、、これは、長谷川一夫先生に教えられたことで、
これまた、10代の頃から、不思議と守った教えの一つなんですけどね、、、。

その後の場から最後までは、羽織を着ているし、逃げ出してきた地味ななり。
色っぽい拵えは、散財場〜二階までの間だけ。

北條先生は、呑気な私を、生身の小春になるように、
そう、お客さまから観ていただけるようにと見張っていて下さった。
幸せな育ちの女優だと、つくづく思う。

ウルサガられても良い。これからの若手に、北條先生を伝えて行かなくては。
Commented by pretty-bacchus at 2008-08-20 01:53
すごお〜〜い!
水谷八重子でなくては書けない名文ですね!
さらりと新派120年の歴史と、素敵さを大きなスケールで語っていますね!
さすがです。
それにしてもこういう催しはどこで知ることが出来るのでしょうか?
是非、拝聴させていただきたかったです。

Commented by funny-girly at 2008-08-20 01:57
バッカスさま
公式HPに出ていると思います。
ここのところ、立て続けに、送っているので、管理人さんは大変です。
でも、良く、あっと言う間に、更新されています。
Commented by 公式サイト管理人 at 2008-08-20 02:31 x
こちらの管理の都合で、掲示板は閉鎖させていただきましたが
最新情報ページだけは!
つねにフレッシュなものをお届けしたいと努めております。

http://yaeko-news.jugem.jp/
こちらが直接のアドレスです。
最新情報や連絡の場とさせていただいておりますので
こまめにご覧になっていただければ、お役に立てるかと存じます♪

余談ですが、はずかしながらわたくし
”シンネコ”の意味がわからず、ちょっと調べてしまいました。
花柳界の用語だとしり、言葉の意味云々は抜きにして
日本独特の色香を感じました...(^-^)
Commented by funny-girly at 2008-08-21 02:15
私、これからは、解らなくなっているだろうと思われる言葉を、遠慮無く使うつもりです。ちょっと調べてしまいました、、、なんて、本当に嬉しい。
婦系図の中に出てくる「別当」が解らないって云われてショックでした。
鏡花の台詞に「厩務員さん」って使えますか?
グワンバリマスヨ。
by funny-girly | 2008-08-19 05:40 | 芝居 | Comments(4)

水谷八重子 タワゴト


by funny-girly