四条大橋のお友達

四条河原町、四条大橋の交差点、南座の楽屋口の向かい側。
劇団の私をよく知る人たちが、
「行っちゃ駄目」「寄っちゃ駄目」「見ちゃあ駄目」
と、云う一角がある。

ネコを売ってるおじさんがいるから、私が買うんじゃないか、って、心配してくれるのだ。

一回、前を通ってみた。
愛想のないおじさんが、箱の中に、
大きな猫ちゃんと、片手の手のひらに乗る子猫を入れている。

「触らないで下さい」と、愛想無く書かれている。
大丈夫。他所の猫には手を出さない私だ、とエバって楽屋入りした。

翌日、また、気になって覗いてみた。
大きな猫ちゃんを膝の上に載せて、ティッシュでお顔を拭いて目やにを取っている。
栃栗毛色に、豹柄の綺麗な猫ちゃんだ。大きい。

おじさんは、膝の上でひっくり返したり、抱きしめたりチュッチュしたりしていた。
次に、やっと目の開いた子猫のお顔掃除。
みんな首輪をして、リードを附けている。
京都1の繁華街のど真ん中だ。
「里親を捜しています」の看板が出ていた。

「可愛いですね」と話しかけてみた。
「みんなが、生まれたって、持って来はるんで」
可愛いですよ。と本心からおじさんは云っていた。

みんなの情報みたいに、買ってくれとも、貰ってくれとも、おじさんの口からでなかった。

車を降りると、自然におじさんを捜してしまうようになった。

今日は、何やら子猫たちに、薬を舐めさせていた。
「里親にあげるにしても、虫下しは飲ませんと、やっぱり虫、いてますのや」
「!!」 
 「昨日、見てはった子猫な、一匹貰われていきましたんや」
続けておじさんは云った。
「貰うてくれるお人を見極めるのが、大変や。すぐ捨てられたらかなわんし、それが一等難しい」

「こんな小さな子猫、どうして恐がりもせずに安心してるの?」と聞いた。
「あんたには、出来んと思うけど、こうしますのや」
と、おじさんは子猫の首の後ろを、咥えた。
咥えたばかりか、子猫を口にブル下げて、振った。子猫はじっとされるがままにしていた。
おじさんは、手に抱き取って、顔を近づけて、スリスリした。
「親はここを咥えますのんや。親と思うて安心してますのや」
話を聞くのが楽しかった。

自然、お互いに挨拶を交わすようになった。

今日は、おじさんに、私の経験談、、、お腹の弱い子を、おからで治した話をした。
おじさんはノートを取り出した。
熱心に、猫、下痢直しおからのレシピを書き留めていた。
「良いこと聞いたわ、おおきに」


楽屋の窓から、おじさんの帽子が見える。
その足元に子猫ちゃんがいるのだ。
話しに行きたくなる。
いい人だ。
おじさんの猫ちゃんがみんな幸せになりますように。
貰われて行った子猫たちも、、、。
あと、一日で猫友達のおじさんとお別れだ。

豹柄の栃栗毛、、、幸せにね。
おじさんも、お元気で、、、
by funny-girly | 2008-09-26 01:24

水谷八重子 タワゴト

by funny-girly
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