ブログトップ | ログイン

ないしょばなし

funnygirl.exblog.jp

水谷八重子 タワゴト

<   2016年 08月 ( 5 )   > この月の画像一覧

新派文芸部の中川さんが書いてくれた筋書きは、あと回しにして、
岩谷時子先生の書いて下さった歌詞だけをまず、ご紹介いたします。

皆さま、良くご存じの樋口一葉原作「たけくらべ」より。

    幼い恋の物語

きこえてくる 下駄の音

お祭りの 笛

幼い恋は 哀しい  あたしの虹のあと。

二人でいつか  歌いましょうよ

子供の日のように ラララララララ

つめたい空 ゆれるのは

水仙の花

幼い恋は 哀しいあたしの虹のあと。


二人でいつか 歌いましょうよ

子供の日のように ラララララララ

はな緒のあと  にぢんでた

雪の日の 夢

あなたはどこにいるの

晴着を  見せたいわ

二人でいつか 歌いましょうよ

子供の日のように  ラララララララ


静かな三拍子の曲。 一間おいてズドドドドンって入る打楽器がドキッと
子供の日の想いを現実の中に引き戻す。素晴らしい楽曲です。

d0071099_9354511.jpg

by funny-girly | 2016-08-29 09:39 | 音楽 | Comments(0)
今年の3月、国立劇場で上演した「遊女夕霧」を、取り上げてみましょうか。

このアルバムの中で一番たくさん、何回もライヴで唄ってる曲なんです。


新派文芸部、中川寿夫氏によると、、、、


華やかな三味線太鼓も賑やかに、ここ吉原は酉の市。

真面目ひと筋の律儀者、呉服屋の番頭、与之助は今夜も夕霧を訪れた。

いやしい遊女のこのあたしに精一杯の実を尽くしてくれる彼、逢瀬を重ねる度、

夕霧の心の中に与之助への愛しさが大きくなっていた。

けれど、この苦界は悲しい。

惚れた男の甘言にだまされ続けた小紫の若い一途さを、優しく慰める夕霧だが、

それが、明日の我が身とは知る由もない。

やがて、騒ぎとさんざめきが潮のように引いた後、

与之助の顔に暗い陰りが浮かび、夕霧は不安に脅える。

恋に夢中の与之助は、夕霧に逢うために、店のお金に手を付けてしまっていたのだ。

声を殺して泣く与之助。こうして、幸せは音を立てて崩れていった。

それから数ヶ月、木枯らしの吹く中、

与之助の得意客の家々を頭を下げて廻るやつれた夕霧の姿があった。

自分を喜ばせるために獄に繋がれた彼の罪が少しでも軽くなれば、

必死に歩く夕霧が講釈師、悟道軒円玉の家の前に立ったのは、

師走のある日のことだった。

信じ尽くした与之助に騙されてしまった腹立たしさ、けんもほろろの応対だが、

頑固なようでも江戸っ子の円玉、黙って耐える夕霧の人に云えない苦しみが、

いつか胸に染みていた。「で、夫婦になるつもりかい?」

「いいえ、別れてやるのが情けじゃないでしょうか、、、。」

女郎上がりが女房になっては、

心底惚れた与之助のために良かれと偲ぶ夕霧の、背中に悲しみがにじんでいた。


岩谷時子作詞「与之さん」


惚れちゃいけない、   女郎だというのにさ
あんまり初ぶだから   あたしゃ惚れたのさ
お酉さまの    吉原は賑やかで
あたしと与之さんは  幸せな筈だった
        男にも実のある人が  いるもんだね
        背のびをしてはあたしに  貢いでたあの人さ
        あああ、情一すじ  それが仇になる

笑うておくれ   あの人のためならば
地獄の果てまでも  あたしゃ行きたいよ
いやしいあたし   喜ばせようとして
可愛い与之さんは  見栄を張りすぎた
         あの人がしたことは  みんなあたしゆえ
         許してどうぞ泣かずに 苦労なら二人で
         あああ いいことなんか  この世にゃないのだね

縞の着物 紫の羽織着て  
あの人助けてと  あたしゃ西東
誰にでも この頭下げましょう
優しい与之さんは 罪を犯しました
           どうしても出したいの 暗い所から 
           浮く世へ無事な姿で  戻られるものならば
           あああ、あたしは去ろう 出世の邪魔になる


    漠然と唄っている内に、、、愛しい「与之さん」がいろいろな人に成って来るって、
    浮気などうしようもない、夕霧とはかけ離れた女なのでしょうか?私って。。。
by funny-girly | 2016-08-18 13:36 | 音楽 | Comments(2)
新派の婦系図からはじめましょうか。

あらすじ
柳橋芸者、蔦吉がただ一人の人と想う早瀬主税と、世帯を構えたのは、つい最近のことだった。

早瀬の恩師、酒井俊蔵には、内密のことなので、

日陰の身、お蔦にとっては生まれて初めてのしあわせだった。

だが二人の関係は、酒井の知るところとなった。

若い頃、スリ仲間に入っていた早瀬を、今の自分に更生させてくれたのは、酒井であった。

その、大恩有る先生の言い付けに、早瀬は血を吐く思い出必死にこらえた。

湯島の境内で、早瀬から打ち明けられた、お蔦にとって、真砂町の先生の命令とあれば、

別れる意外に道はなかった。

傷心の早瀬が故郷の静岡へ帰ってから、お蔦は「めの惣」の二階で病に伏せるようになっていた。

そんなお蔦の所へ、酒井の娘、妙子が訪れてくる。

居合わせた、芸者の小芳の胸は騒いだ。

妙子は、小芳が酒井との間に生んだ娘だった。

芸者家業の悲しさに、二人の眼に涙が浮かんだ。

お蔦の病は悪くなっていくいっぽうだった。

だがお蔦にとって、失意を乗り越えて、早瀬が鈴岡で、語学塾を開いたのを、

新聞で見られたことは、ただ一つの救いだった。

その早瀨の元へ酒井から、お蔦の危篤を知らせる電報が届いた。

重体に陥ったお蔦の枕辺に座った酒井は、お蔦の哀れさが胸に突き刺さる想いだった。

先生が許して下さった、、、最後の輝きを見せて、お蔦の意識は無くなった。

そこへ駆けつける早瀨、しかし、もう、お蔦の意識は戻らなかった。

「死ぬなお蔦!」早瀨はいつまでも叫び続けていた。


新派文芸部・中川寿夫氏による。



岩谷先生の作詞は、台詞から入って居る。

「奥さん、奥さんなんて、大きな声をおしでないよ、めのさん。
はんてんを着た奥さまなんざ、江戸にはおりません。ね?あなた」

お風呂へ 行くから 留守番して下さいな、 あなた。

     世帯が持てて うれしいわ 

日陰者だよって 人は云うけど  あなたがいれば あなたがいれば それで いい。

ママゴトみたいな 幸せが やっとあたしに きたのです。



「いい月、ねぇ ちょっと ちょっと、ごらんなさいよ。
あなた何だかこの二、三日、ふさぎ込んでばかりいらっしゃる」


二人で湯島へ でかけるのは初めてね  あなた

花見が出来て うれしいわ  例え内緒でも夫婦ですもの

苦労するのが  苦労するのが  楽しみよ

別れておくれと いうことは  死ねと云うのと おなじこと


「お蔦はわづらっております。長いことはないかも知れません。
あなたから、便りのある筈はございませんが、塾をお開きのことは新聞で知りました。
ほら、こうして切り抜きを胸にしっかり抱いております」


逢いたさ 見たさで 何年経ったでしょうか あなた

夢でもいいの 逢いたいわ長の別れです あたしもう、だめ

義理を立てれば 義理を立てれば  逢えません。

月夜に白梅 散るように 死んで行くのも  ひとり旅。


アップテンポのこの曲、お蔦の、喜び、不安、諦め、別れ、、、総て織り込める楽曲です。
by funny-girly | 2016-08-14 04:35 | 音楽 | Comments(4)
新派・・・って芝居が始まってから、
今年で128年目になる。
いろんな芝居が有ったであろう。
良い芝居は勿論、あらまあ、それってお金貰ってやったの?
何て芝居まで、、、。

なにしろ、最初は、政治思想を広げるためにやったんだと云う。
無論明治時代だ。
反体制の政治思想家がやった芝居である。

大変な歌舞伎ファンだったというけれどどんなモンだったんだろう。
無論、明治の現代劇である。
歌舞伎しかなかった時代に、現代劇を目指した芝居。
新しい芝居。それが新派。
ま、ザックリ云うならこんな風。

私が正式に新派デビューしたのが1955年だから、
新派67年目に、このヘンな女優が入ってきたことになる。
舞台と同時にビクターレコードからもデビューした私なのだ。
そんなこんなで、テレビに出たり、映画に行ったり、、、
だんだん、新派の芝居の難しさに出逢い、引き寄せられて、
魅せられて、胸を張って「新派女優です」なんて、、、おこがましい。

1978年、新派を大好きでいらした偉大な岩谷時子先生の作詞で、
新派の芝居を10作品、オリジナルの楽曲を作ることになった。
作詞は、誰よりも新派好きな岩谷先生、何から何までご存じだ。

では、作曲は、、、ってなって、新派を一度もご覧になったことのない、
売れっ子作曲家、中村泰士氏に決まった。
編曲は当代随一の萩田光雄氏。

その10作品を次々、ご紹介致しますね。
さぁてっと、乞うご期待。

今は亡き、新派文芸部の中川寿夫さんが、
荒筋を実に、判りやすく書いてくれている。

なにから、ご紹介しましょうか知らん。
by funny-girly | 2016-08-13 03:27 | Comments(2)
この間テレビでやっていたことだけど、

風鈴屋さんが、この、真夏、この蒸し暑さに、

お商売が、美味くないんですって。

何故ならば、風鈴の音が、な、なんと!生活騒音になるって!

「生活騒音」

悲しくて悲しくて、どうしたら良いのか判らなくなってしまいました。


私たち新派の芝居は、季節ごとに移り変わる「生活騒音」を

大切にしている芝居ですもの。

風鈴がなったら、夏。

夏は暑い。蚊やり線香のけむり。

路地の巻き水、玄関の打ち水。

ここに「きんじょ〜〜えぇきんぎょ」って金魚屋さんまでは来ませんけれど。。。

騒音!・・・工事現場の甲高い音だけが騒音と思っていましたのに。

何かに載っていましたっけ。

ワンちゃんの吠え声が煩いから、声帯を手術するとか?

首輪に、吠えると電流が流れて、ビックリして吠えなくなるとか。。。

完全に動物虐待ですよ、これって。

まだ、幸せな事に現物に出逢っていませんけどね。

都会のコンクリートの箱の中で、ワンちゃんが吠えているのを聞くと、

急に心が温かくなってホッとします。

お留守番しているんだな?

良い子にお勤めを果たしているんだな? 「大丈夫だよ」思わずソッと声を掛けてしまいます。

最初の頃は、カラスの大きな声で目が覚めていたのに、

この頃、何だかカラスさん減ったみたい。

仲良しつがいでカアカア絡んでいる姿が見えなくなって淋しいばかり。

しっかり子孫を残せているのかしら。。。

こんな都会のど真ん中でも、春に鶯がヘッタッペにないたり、

雀がチュンチュクさえずったり。今は蝉の鳴き声がけたたましい。

ああ、夏なんだわ! 蝉がいる夏なんだわって実感する。

その内には、スーイッチョって秋の虫が鳴くだろう。

風鈴のチリリリ〜〜〜ンもその一つ。

「生活騒音」をなくせって云う人って一体どんな人だろう。

日本人の季節季節の生活をしっかり切り取ってお見せする、

新派にとって泣きたいような、、、「事件」です。

なおなお、新派の中に残さなくっちゃ!

あぁ、新派、それ自体が残らなくっちゃ!!
by funny-girly | 2016-08-07 22:28 | 悲しみ | Comments(9)