ウロ・・・ウロ

今日は大好きな作業に行ってきた。
衣裳を選ぶことである。

演出家なり、衣裳コーディネーターが最近はやることが多いけれど、
新派の大幹部は大抵、自分で工夫して選ぶのが習わしだ。

その昔は、新しい工夫で、染め上げたり、
珍しい柄や、生地を当てもなく買ってあったり、
呉服屋に届けさせたり、華やかな、古き良き時代があった。

そんな中から、花柳章太郎先生の、名デザインが産まれて今も決まり物になっている。

今日はそんなのではない。
「華岡青洲の妻」の姑、於継の衣裳選びだった。

杉村春子先生、お得意中のお得意「於継」。
いつも、鏡ばかり見ている「於継」。
髪の毛、一本乱れていたくない「於継」。

時代が時代だけに、染めない、作らない、を厳守で選んだ。

私が初めて「嫁さん加恵」を演じた時は、母が演じた加恵の衣裳のままでやった。
杉村先生はそれを許して下さった。
最近、池内淳子先輩と演じた、加恵の衣裳も、
久里子さんが、そのままに演じて残っている。

従って、杉村先生の衣裳と同じ雰囲気、同じ色目のを探すのだ。

作品全体の責任者と、私担当の衣裳さんと頑張った。

華岡家の道具は美術家が変わっても、色彩が変わらない。
私の大好きな美術家、古川雅之さんだ。

衣裳は照明によって相当、色目が変わって見える時がある。
大好きな照明家、北内隆志さん。
きっと、おかはんオシャレな「於継」を綺麗に見せてくれるだろう。

衣裳さんの苦労はこれから始まる。
古い衣裳は、洗い張りに出してから、
私の舞台用のサイズに縫い直すのだ。

舞台の陰の苦労なんて、これは未だほんの一部。

居心地の良い華岡の家に住み着いて、
袖を通しただけで、加恵が憧れた「おかはん於継」になれる衣裳に包まれますように。

糸車、機織り機、薬の調合など、学ばなくてはならないものが一杯だ。

何とも魅力的な「和歌山弁」?「紀州弁」の台詞もマスターしなくては!

日本が世界に誇る、初めての「全身麻酔」
世界で初めて「乳癌」を切り取った華岡青洲は実在の人物だ。

それを取り巻く「嫁」「姑」のドロドロしつつも、
思わず、笑ってしまうほどの対決。
有吉佐和子先生の、実は物凄い「台詞劇」なのだ。

素晴らしい、面白い脚本に、時として組み伏せられてしまう私なのだ。
なーに!負けるものかのし!負けてたなる物かいし!

今日も台本片手に、猫と一緒にウロウロとしている私なのだ。

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こんなにチョー忙しい演出家になったのに、相変わらずおさげが可愛い齋籐先生
by funny-girly | 2012-05-16 02:06

水谷八重子 タワゴト

by funny-girly
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