2012年 05月 16日
ウロ・・・ウロ
衣裳を選ぶことである。
演出家なり、衣裳コーディネーターが最近はやることが多いけれど、
新派の大幹部は大抵、自分で工夫して選ぶのが習わしだ。
その昔は、新しい工夫で、染め上げたり、
珍しい柄や、生地を当てもなく買ってあったり、
呉服屋に届けさせたり、華やかな、古き良き時代があった。
そんな中から、花柳章太郎先生の、名デザインが産まれて今も決まり物になっている。
今日はそんなのではない。
「華岡青洲の妻」の姑、於継の衣裳選びだった。
杉村春子先生、お得意中のお得意「於継」。
いつも、鏡ばかり見ている「於継」。
髪の毛、一本乱れていたくない「於継」。
時代が時代だけに、染めない、作らない、を厳守で選んだ。
私が初めて「嫁さん加恵」を演じた時は、母が演じた加恵の衣裳のままでやった。
杉村先生はそれを許して下さった。
最近、池内淳子先輩と演じた、加恵の衣裳も、
久里子さんが、そのままに演じて残っている。
従って、杉村先生の衣裳と同じ雰囲気、同じ色目のを探すのだ。
作品全体の責任者と、私担当の衣裳さんと頑張った。
華岡家の道具は美術家が変わっても、色彩が変わらない。
私の大好きな美術家、古川雅之さんだ。
衣裳は照明によって相当、色目が変わって見える時がある。
大好きな照明家、北内隆志さん。
きっと、おかはんオシャレな「於継」を綺麗に見せてくれるだろう。
衣裳さんの苦労はこれから始まる。
古い衣裳は、洗い張りに出してから、
私の舞台用のサイズに縫い直すのだ。
舞台の陰の苦労なんて、これは未だほんの一部。
居心地の良い華岡の家に住み着いて、
袖を通しただけで、加恵が憧れた「おかはん於継」になれる衣裳に包まれますように。
糸車、機織り機、薬の調合など、学ばなくてはならないものが一杯だ。
何とも魅力的な「和歌山弁」?「紀州弁」の台詞もマスターしなくては!
日本が世界に誇る、初めての「全身麻酔」
世界で初めて「乳癌」を切り取った華岡青洲は実在の人物だ。
それを取り巻く「嫁」「姑」のドロドロしつつも、
思わず、笑ってしまうほどの対決。
有吉佐和子先生の、実は物凄い「台詞劇」なのだ。
素晴らしい、面白い脚本に、時として組み伏せられてしまう私なのだ。
なーに!負けるものかのし!負けてたなる物かいし!
今日も台本片手に、猫と一緒にウロウロとしている私なのだ。
こんなにチョー忙しい演出家になったのに、相変わらずおさげが可愛い齋籐先生
by funny-girly
| 2012-05-16 02:06