苦い苦い蕎麦の味

こんな、メールが、昨日になって届いた。

作家でも、エッセイストでも、何でもない私だけれど、
いえ、それだけに、馬鹿な苦労をして、必死になって書く。

書いた後は、ホッとしてすぐに忘れる。
忘れていたところにメールが思い出させてくれた。

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水谷八重子先生

謹啓 時下ますますご清祥のこととお慶び申し上げます。
過日、水谷先生に146号掲載分と致しましてエッセイご執筆のご依頼を申し上げ、
先生より御稿を賜りました。誠に有難うございました。

その後先生へゲラのご確認をお願いするなど、
ご多忙の中貴重なお時間を頂戴いたしましたが、
内容につきまして再度検討を重ねましたところ、
文中にご登場の高橋名人は弊誌のスポンサーである「新そば会」の会員ではないことから、
全国新そば会で配布するには難しいとの判断に至りました。

大変楽しく含蓄ある内容でございますが、今回の御稿の掲載はお見送りさせて頂き、
新そば147号(11月発行)へ再度お書き直しをお願いする次第でございます。

大変お忙しいところ恐縮ではございますが、
なにとぞご理解を賜りますようお願い申し上げます。

また、原稿料をお支払いいたしますので、至急お振込先をお教え下さいますよう
お願い申し上げます。

どうぞよろしくお願い申し上げます。
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一生懸命書きました。
料理一般、お蕎麦をウンヌンするなんて、おこがましい私です。
素晴らしいひとときの思い出を書き殴った雑文です。
使われなくなった、私の思い出。葬られた私の思い出。
ブログに残しておきたくなりました。
お暇な方はでうぞ。。。。

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 もう何年くらい前になるだろうか。
 「ごくごく内輪での、お花見をするから是非どうぞ」ってお誘いを頂いた。
 
 お花見って事は、あの、悲劇の3・11の前の前の春だったように思う。
 実に魅力的なお誘いだった。
 場所がまず、憧れの三つ星レストラン。勿論、超一流のフレンチだ。
 シンデレラのお城のようなその場所を、
 一階から、四階までご自由にお楽しみって。
 各階によって、違うお料理をお楽しみって。
 あらゆるワインを取りそろえって…これは飲めない自分をチョッピリ恨んだんだが。
 
 そのお店のお庭に、桜の木がある訳ではない。
 玄関ホールイッパイに、桜の花が咲き誇っている。
 お店のオーナーのご自宅に咲いた桜がホール狭しと飾られているのだ。
 な、なんて贅沢なお花見!
 一階の1番広いお部屋は、何やらまだ準備中らしく、
 二階のお部屋で、ワインとオードブル。
 三階のお部屋も、それぞれのグループで楽しめるようにテーブル席がセットされている。
 四階が、ああ来なけりゃ良かった、デザートのお部屋。
と、その隣はバンド演奏があるらしいセッティング。
 
 各階で、勝手気ままに、フレンチのオードブルから、
 ワイン(ああ、詳しい人なら、泪とヨダレをたらすであろうに)オンチな私が一口舐めても、
 ビックリする美味しさだったから、せめて名前と年代くらいは…と悔やまれた。
 
 そうこうする内に、一階のメインのご準備ができましたので…とお知らせが。
 オナカの方もだいぶ落ち着いてきていましたし、もうしばらくして、
 皆さんがお戻りになる頃に…と構えていた。
 そろそろ伺って見ようかしら…と、一歩入って驚いた。
 
 フレンチの家具調度、豪華なシャンデリアの下に、
 大きな「コ」の字型のテーブルが置かれ、白い晒しがテーブルを覆っている。
 
 その「コ」の字の真ん中にオジサンが三人。
 ねじり鉢巻き、揃いのTシャツ。胸には大きなダルマさんの模様が。
 キョトンとしてる間に、ざるに載ったお蕎麦とつゆが運ばれた。
 やっと私は思い出した。招待状に書かれてましたっけ!
    「桜をめでて、高橋名人の蕎麦を楽しむ」

 訳も解らぬまま、フレンチに引かれて来た私だったんです。
 
 ま、ともかくメインのお蕎麦を一口。
 
 違うんです。今まで私が知っているお蕎麦とは。
 何処が?と云われても、何も云えはしませんが、とにかく、違うんです。
 魔法のようにツルツルツルツル、留まるところが無いように、
 入って行ってしまうんです。
 あっと云う間の出来事でした。
 気が付いた時には、すでに、もう、ザルは空でした。
 
 しばらく我を忘れて、ボーッとしていました。
 今、私がズルズルって食べたのは、確かにお蕎麦だった?
 お蕎麦って、こう云うもんだって、勝手に決めつけて、
 今まで真面目に味わったことがなかったのかも知れない。
 でも、違った。確かに違っていた。
 たかが蕎麦、されど、されど、何処にもない蕎麦だった。
 
 あの時いがい、あれ以降、まだ一度も出逢っていない。
 何処の、どんなお蕎麦を食べても「これじゃない」って思う私がいる。
 あのダルマ模様の高橋名人のお蕎麦に出逢ってしまった私って、、、
 幸せだったんだろうかしら?
 それとも、あの味を知ってしまった私って、不幸だったのかも知れない。

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 蕎麦について何でも良いから書け、、、って云われて、
これ以上の蕎麦については何も書けない私だった。
 
幻の高橋名人、、、蕎麦にも、派閥があり、こんな幻の人でも、
何処かの会員、派閥に属しているのかしら、、、。

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by funny-girly | 2013-08-01 11:09 | Comments(8)
Commented by 一葉(にゃんママ) at 2013-08-02 05:05 x
八重子さん、こんなステキなお話をお蕎麦を打った方が会員ではないからと掲載出来ないなんて、何と心の狭い方達でしょう。
このお話から「そんなに美味しい蕎麦を打てる人がいるなら是非紹介しようじゃないか」と仰る方はいらっしゃらなかったのでしょうか。
八重子さん悔しい思いをされましたね。
でも、そのおかげで私はこのエッセイを読ませて頂く事が出来ました。
そうでなければお蕎麦関係の本?なのでしょうか、私には全くご縁がありませんから。
高橋名人のお蕎麦がどれほど美味しいものだったのか、その後の八重子さんが何処へ行かれても違うと思ってしまわれる事で充分伝わります。もう一度召し上がりたいのではありませんか?
私は蕎麦アレルギーの為、お蕎麦がどれほど美味しいものなのか知らずに来ました。食べられる人が羨ましい。
何度挑戦してみたいと思った事か(笑)
でも命にかかわるかもしれないので、きっと多くの人にご迷惑をおかけする事になりかねないと自制しております。
そこで八重子さんのエッセイを通して私も食べてみました。
するするっと喉ごしのいいとても美味しいお蕎麦、
ご馳走様でした。
Commented by funny-girly at 2013-08-02 10:49
一葉にゃんママさま
解って頂けて、こんな嬉しいことはございません。
その業界紙を手がけている雑誌社なら、北白川書房の季刊全国誌「新そば」って名古屋の書店です。ゲラにしている間にも、
何故調べなかったのでしょうか。調べずとも、高橋名人の名は、
伝説のような人だそうで、知らなかった私は、そうとう蕎麦好きから、馬鹿にされましたし、羨ましがられました。

蕎麦のアレルギーはキツイと聞いております。お気の毒に。
また、コメントをよろしくお願いいたします。
Commented by タマうさぎ at 2013-08-03 10:47 x
お忙しい著名な八重子さんに依頼しておきながら、
会員でない事だけで、掲載拒否にするなんて…、
何て視野が狭いのでしょう!
心をこめて書かれた八重子さんのご落胆、よ~く分かります。
でも、いつもながらの素敵なエッセイを思いがけず
ブログでお目にかかれ、八重子さんファンは喜んでいると思います。

「三婆」地方でのロングラン、暑さはまだまだ続きます。
どうぞ、お元気で三越劇場にお帰り下さいね。
お待ちしていま~す!




Commented by 浪花のべっぴん at 2013-08-04 00:24 x
じっくり読ませていただきました。
つい八重子様がお蕎麦を食べてる姿、想像しちゃいました。
麺類大好きな私、冷たいざるそばが食べたくなりました(^_^;)
とてもいいお話、ボツになるなんてもったいないです。
八重子様の思い出話なんだから、掲載したっていいと思いますけど…。
Commented by funnygirl at 2013-08-04 02:20 x
タマうさぎさま
慰めて下さって有り難うございます。
蕎麦好きの私としては、蕎麦に派閥があるなんて事にビックリ。
たとえ、派閥があってとしても、高橋名人は越えている人と思います。しばらくは日本蕎麦を食べたく無くなっております。
ま、今年の年越しまでには、気分を直そうと思ってます。
毎年、八尾のお蕎麦、信州のお蕎麦、北海道日高のお蕎麦で
年を越している私です。
Commented by funnygirl at 2013-08-04 02:25 x
浪花のべっぴんさま
イヤですね。美味しいお蕎麦に会員制があって、他所の会員のものは置かないとのこと。お蕎麦の味がガクンと落ちました。
そして、別のことを、次の号に書け何て!
蕎麦アレルギーになっちゃいます。
怒り過ぎているでしょうか?本職ではないので、キズも深いです。
Commented by 婆美以 at 2013-08-06 02:05 x
>怒り過ぎているでしょうか
いえいえ、当然と思います。

タブーがあるなら先にお伝えになるのが礼儀でしょう!
しかもその点に詫びの一行も無い文面、稿料払えばいいでしょと重ねて非礼、、と私も怒って、
でもでも、、
本来はチャンスの無かったエッセイを読めて裏返しの幸運~どうしましょう!

>キズも深いです
感性豊かな大女優さんでいらっしゃればこそ、の名誉の負傷❤と思いますが、早く癒えますように応援致しています。
どうぞ年越し蕎麦が美味しくなられますように❤

名人のお蕎麦を私もいただいてみたい~~~!
Commented by funnygirl at 2013-08-08 00:26 x
婆美以さま
お解り頂いて本当に有り難うございます。美味しかったのですよ。その美味しさが、表現出来ない自分にハラを立てています。
また、何処に行けば、名人のあの味に出逢えるのか、パーティのオーナーに伺えば解るのですが、それよりは、私の大切な宝物にして、幻のままで置いておきたい気がします。
落ち着いてみれば、無知なのは編集者であり、お蕎麦屋さんではないので、私の八つ当たり。籔蕎麦もあれば、砂場もある。踊りの流派と同じと考えれば。。。でも、まだお蕎麦食べてませんけどね。
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