有り難うございました

和歌山には、仲良しがいます。同い年のウサギさんです。
彼女のお母さまは、その昔、和歌山の名妓と謳われた、芸者さんだったのだそうです。
残念ながら、お目にかかるチャンスはありませんでしたけれど、、、。
大変な芝居ファンでいらして、毎月、東京まで芝居を観にいらしたそうで、
その当時の、芸者さんの羽振りの良さ、文化意識の高さ、
言い換えれば、有り難いお客さまであり、目の肥えた怖いお客さまなのです。
その、母上に連れられて、子供の頃から、芝居に触れていたウサギさんです。
初代・水谷八重子の大ファンだったウサギさんは、
母の側で出ていた私、すなわち、水谷良重は、大嫌い!
「八重子さんの娘、ぜんぜん違うわ、絶対観ない」と、
初代の八重子亡き後、すっかり新派離れしてしまったお客さまだったのだそうです。

双方の母亡き後、久々に芝居見物を試みた彼女、
明治座のご案内役だった方に、どこの何を観たら良いかを、
聞いたんだそうで、、、。
その時、たまたま、演舞場で私が「佃の渡し」をやっておりまして、
ご案内役は一番に推奨して下さったんだそうで、でも彼女、
「八重子さんの娘でしょ?私、弱いわ、観たくもない」
それでも、引き下がらなかった案内役(有り難う)に負けて、
観に来て下さったんだそうな。

こんな素晴らしい脚本は滅多にない芝居です。
「いいわ!八重子の娘は変わったわ。これからは観てみましょう」

それから、何年も舞台と客席、でのみ、お目にかかっていたようです。
国立劇場で「兄いもうと」と「京舞」の二本立てだった月、
和歌山から観劇にいらして下さって、
もう、そこが東京駅って時に、
ちょっとした地震に見舞われました。
劇場では、私と久里子とが廊下で抱き合って、「ぎゃーぎゃー」喚いて終わりましたが、
大事な和歌山のお客さまを乗せた新幹線は、そのまま、駅の構内にストップ。
最初の「兄いもうと」を完全に見損なって、「京舞」だけをご覧になりました。

その、感想を書いて、初めてお便りを下さった。
嬉しいお便りで、すぐにこちらも、感謝のお便りを出しました。

それ以来のお付き合いで、大切なお客さまであり、アドバイザーであり、
家族なんです。しかし、芝居の目は変わらず怖い。
そんな彼女が、新派の巡業を、和歌山でも出来るようにと、
東奔西走して呼んで下さったんです。

10月3日が、和歌山県民文化会館の公演でした。
大きすぎる会館ですが、いっぱいのお客さま!
嬉しかったです。有り難かったです。暖かったです。

和歌山の皆さん有り難うございました。
京都からいらして下さったお友達有り難う。
関西八重子の会、後援会の鴻池会長ご夫妻、
有り難うございました。

また、京都の宿に帰って参りました。
by funny-girly | 2006-10-05 12:40 | 芝居

水谷八重子 タワゴト

by funny-girly
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